アズビルの社会的信頼のため、
海外現地法人の組織運営の土台を築く。
私が所属する部署では、各海外現地法人の予算・受注費・売上などの情報をまとめ、業績向上のための予算達成度や課題の把握・分析をおこなっています。その中で私は各法人の業績管理を担当しており、ベトナム法人と中国法人の担当として、経営管理・支援業務をおこなっています。たとえば各国で就労に関する法改正があった場合、それに伴い就業規則など会社規則も見直さなければなりません。法改正に対し、該当する現行の会社規則は何か、いかに調整するかを現地のスタッフと共に考えています。最終的に日本の本社の規則と照合し、アズビルの子会社としてコンプライアンスを遵守した運営が維持できるかを判断しています。
異なる文化や価値観を持つ相手と、互いに母国語ではない英語を共通言語に、組織運営の土台を守る仕事です。扱っている製品や事業内容も各法人によって異なりますし、それぞれの国で抱えている事情も様々です。現地のスタッフとは基本的にメールやチャットでのやり取りですが、文字だけでそれら全てを理解できるとは考えず、どんなやり取りも丁寧に、相手の意図を汲み取ろうとする姿勢を心がけています。
文化や価値観の違いも乗り越えた先に、
良きパートナーという関係性が生まれる。
会社規則の管理では、例えばその国の残業時間の上限が変われば、現地法人で定める上限も法律に合わせる必要があります。残業規則の変更で影響が及ぶ他の規則(休日や勤務時間など)についても検討が必要です。申請手順や項目も変える必要があるか? 現場からどんな声が上がりそうか? どう周知したら徹底してもらえるか? 現地のスタッフと入念な打ち合わせを重ね、着地点を見つけていきます。全く同じ前例は無いので、ゴールも道筋も毎回手探りです。
私は大学時代、ニュージーランドに1年間留学していました。日常会話に困らない程度に英語は習得していましたが、ビジネスの場で相手の事情を細かく把握する、相談に乗るというコミュニケーションには最初は苦労もありました。ただ時間をかけて現地のスタッフと相互理解を深めていくにつれ、意思の疎通もしやすくなりました。今は本来の課題解決により集中できるようになった気がします。そうして文化や価値観の違いを乗り越え、共にゴールに辿り着けた喜びはやはり大きいです。
留学を経て様々な価値観に触れ、違いを知る、その楽しさを知りました。理解や共感によって自分の世界が広がっていくのです。今の仕事も、その延長線上にあると感じています。
どんな内容、どんな仕組みなら
世界中のアズビルメンバーに活用してもらえるのか?
アズビルは約15ヶ国に海外現地法人があり、関連会社を含むとその数は約30社にものぼります。それらの国々に展開する、経営管理の基礎となる規則の水準を維持するために、全世界共通のガイドラインの作成を進めています。まず取り掛かったのは経費の申請・承認方法の統一。各法人ごとに様々な運用方法がとられていたので、最低限守るべき基本原則というかたちでの展開です。厳しくしすぎては現場の負担ですし、ちょうど良いラインを見極めるために、現地の運営をよく知る本社の監査部に意見を聞いたり、法務部に相談したりしてガイドラインを組み立てていきました。大企業であるほど、ルールをどう定義しどう正しく機能させるかが重要です。アズビルとしての基準を設け、全法人に展開することは、最終的に製品の品質や社会的な信頼にも関わることでしょう。各国の状況を調査した際には、世界中の仲間を支える、その規模の大きさを実感しました。
展開後も運用状況について話し合う必要がありますし、別の項目で全世界共通の方針を作成する話も出ています。azbilグループ全体を支える基盤づくりは、まだ道半ばではありますが、着実に一歩ずつ前進しています。
今よりもっと理解し合い、信頼し合うために。
自分発信のコミュニケーションを止めない。
現地のスタッフに対し心がけていることが二つあります。一つは日々の連絡を欠かさないこと。些細なことでも私から質問します。その国の状況を日頃から把握できていれば、何か問題が起こっても素早く対応できるかもしれません。メールで堅苦しく聞くよりチャットで気軽に問いかけるのもポイント。そうすれば相手が私に相談するハードルも下げられます。二つ目は、なぜそう考えるのか? なぜその提案内容なのか? 相手の真意を知ろうとする姿勢です。掘り下げると、そこから思わぬ課題が見つかったりするからです。
現地のスタッフにとって、私は本社の相談窓口というポジションにいます。彼らは日本企業を選んで勤めてくれていることもあり、日本の価値観や考え方に寄り添おうとしてくれるのを感じます。メッセージにひとこと日本語の挨拶を添えてくれたりと、気持ちが伝わるとやはり嬉しいものです。だからこそ、私も相手に寄り添いたいのです。コミュニケーションの壁を最大限無くし、困った時こそ頼れる、信頼できるスタッフになることが私の目標です。
記事及び写真は取材時のものです。